長崎大学子どもの心の医療・教育センター発足に寄せて
長崎大学は、2016年に「長崎大学子どもの心の医療・教育センター」を医学部保健学科と教育学部の緊密な連携の上で開設しました。これまで長崎県内で起こった子どもが子どもに危害を与えるという事件の連鎖が止まらない現実に対して、大学も「何かをせずにはいられない」想いで議論を重ね作り上げたものです。
近年、長崎県は重層的な対策を行っていましたが、2003年、2004年、そして2014年に事件が起こってしまいました。教育現場からはこれ以上何をすれば事件を防げるのかという悲壮な呟きも聞こえてきました。
こういう背景での「長崎大学子どもの心の医療・教育センター」の船出です。当センターを立ち上げるにあたり私たちの議論の先に見えてきたものは、子どもに関わる多職種の連携と個々人への支援が必要だということでした。それぞれの教員やスタッフが今、子どもと関わる際に何を求めているのか、現場にはどういう支援が必要なのか、誰と誰がどう連携すれば有効に機能できるのかなどを現場の皆様と一緒に学び直すことを目標に掲げました。
学内では教育学部と医学部の学生が共に学び合う場を創設するとともに、教員をはじめとする現場の関係者の皆様には「子どもの心の支援にかかわる高度人材育成プログラム(eラーニング)」を配信しています。また、当センターの教職員が長崎県内各地の現場に出向き、教員や子どもにきめ細やかに向き合い、最新のエビデンスや知恵を提供しています。
子どもの心に関わるすべての人々が学び、飛躍し、そして自信を持って様々な課題に対応できるような社会を創造するために、当センター教職員一丸となって頑張ります。
皆様のご理解とご支援を賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。
センター長 田中 悟郎(たなか ごろう)